疑わしき「カフェインゼロ」 〜すり抜けるカフェインに気をつけて〜

私、管理人がカフェインによる体調不良を訴え始めたのは2006年のこと。その当時は「カフェインゼロ」を前面に出した商品が殆ど無かったように思います。ところが、近年では「カフェインゼロ(ノンカフェイン)」は広まりつつあります。

カフェインによる体調不良、子どもや高齢者などカフェインに余り強いとは言えない年代、妊娠や病気、信仰上の理由などからによる摂取禁止…このような状況などを考えるとカフェインを含まない商品の広まりは歓迎されるところもあるでしょう。

しかし、元々カフェインが多く含まれるとされる材料から作られた商品には、私自身、懸念するところがございます。残念ながら、実態を見れば「カフェインゼロ」とは到底呼べないものもございます。

そこで今回は「カフェインゼロ」の意味を改めて確認し、そのように謳う商品とどのように向き合うべきかを考えて参ります。

「カフェインレス=カフェインゼロ」という発想は論外

「論外」といきなり強い語調で申し上げましたが、これは中学校の英語の授業で学ぶ「比較」を知ると、簡単に分かる考え方なのです。本来「レス(less)」は”little”の比較級で「より少ない」という意味があります。

「より少ない」ということが「ゼロ(全く無い)」と同じであるとは考えにくいですし、”less”が「比較級」であると言うことは、そこには「最上級(least)」があることにも気づくでしょう。

厳密に言えば、”sugerless”や”countless”など「接尾辞(せつびじ: ある単語の最後に付いて特定の意味を表すもの)」の”-less”は「無い」という語を作るとされますが、本来の単語を考えると接尾辞”-less”を「全く無い」と考えるのは拡大解釈にも思えます。

「カフェインレス(カフェインがより少ない)」と謳った商品を「カフェインゼロ(カフェインが全く無い)」として他者に示す行為は大変危険だと考えています。そこにかかる「責任」を今一度考えるべきでしょう。

カフェインを含むものからカフェインを取り除く方法

近年、ペットボトル販売される茶系飲料(緑茶、紅茶、ブレンド茶)を中心に「カフェインゼロ」を謳う商品が増えています。しかし、これらの中には、本来ならカフェインを多く含んでいる「茶葉」を使っているものも見受けられます。

茶葉からカフェインを取り除いて「カフェインゼロ」に仕立てようとしていますが、その方法として、キリンビバレッジの「カフェインゼロ生茶」の商品紹介ページでは、4つの方法を例示しています。(各方法の詳細な説明は割愛いたします)。

① 熱湯を利用する(湯で溶出)
② 超臨界二酸化炭素抽出法
③ 有機溶剤法(有機溶剤で溶出)
④ 天然吸着剤で吸着・分離する

①から③では味を損ねるため、「カフェインゼロ生茶」では④の方法を取っているとサイトに明記されています。しかし、そこには「カフェインについては0.001g(100mlあたり)未満をゼロとしています」とも記載されています。

この状況で「ゼロ」とするのは強引だと感じるのは私だけでしょうか? 「一定の基準を満たしているから、実際にはゼロで無くてもゼロとします」と言っているようなものなので、私には「カフェインレス商品」としか思えません。

上記以外にも取り除く方法はあると思われますが、精度が高くコストが抑えられる方法が多く取られるのでしょう。勿論、安全性も多方面で加味されるべきことであります。

余談ですが、アロマテラピー(アロマセラピー)を学習している方や、実際にそれを業とされている方は②と③を知っておく必要があります。精油の抽出にも使われる技法ですが、これを学ぶと完全な抽出が難しいことにも気がつくでしょう。

「カフェインゼロ」は測定器が作り出す?

先ほど「カフェインについては0.001g(100mlあたり)未満をゼロとしています」といった記載に触れましたが、「0.001g(100mlあたり)」という数字はどこから来たものなのでしょうか?

2012年1月、生活の木に同社で販売されているタンポポコーヒーについて問い合わせました。その当時、同じタンポポコーヒーでも「ノンカフェイン」の表記があるものと無いものがあり、その差が何故起きるのかを尋ねました。

回答の中に、生活の木では第三者機関でカフェイン量を分析し、100gあたり0.001gまでを計測出来る機械を用いている旨が綴られていました。恐らく、キリンビバレッジを始め、多くの企業でこれと同様基準の機械で測定していると考えられます。

そのように考えると、先の文言が何故その基準なのかも納得出来ます。100gとあるのを100mlと置き換えても問題無いでしょう。キリンビバレッジが定義して以降、他社でもこの基準が明文化されているケースを見受けます。

しかし、生活の木からは、100g(100ml)あたり0.001g未満であれば「検出せず」とする一方、あくまでそれは機械の限界によるものであるため、より精度の高い機械にかければ検出されることもあるとの回答も得られました。

つまり、「カフェインゼロ」と称しても、実際にはすり抜けてしまったカフェインもあると考えるべきだと言えます。そもそも100g(100ml)あたりの話なので、それより多く口にすれば、カフェイン量も比例して増えることも考えられます。

生活の木では現在、カフェインを検出しなかった商品に対して「ノンカフェイン」に加え「カフェイン0.00%」「無水カフェイン0.00g」などの記載をしています。念のため、小数第三位より先にも注意して欲しいということなのかも知れません。

世の中に「カフェインゼロ」のものなんて無いの?

カフェイン含有量を明確に示そうにも計測器の限界があるということは、本当はカフェインを含んでいるにも関わらず、機械で計測できずに見落とされているものがあるかも知れないということでもあります。

つまり、これまで「カフェインゼロ」と思われていたものが、高度な計測器によって「カフェインゼロ」でなくなるケースが出て来ることが十分に考えられるのです。

そのような話をすると「世の中にはカフェインゼロのものなんて全く無いのか?」「そんな状況だったら何を口にすれば良いのか?」と不安に思う方もあるでしょう。しかし、人間が生きていく上で、飲まず食わずという訳にも行きません。

ここまで来ると、個人の経験や感覚に委ねることになるでしょう。カフェインの表記や含有量の記載が無くても、摂るといつも調子が悪くなるとなれば避けるなどといった判断が求められるように思います。

但し、個人で判断して上手くいったことが、他者にも必ず上手くいくとは限りません。前半でも綴った「責任」というものがかかります。安易な判断や解釈、助言は控えるようにしたいところです。

今月のまとめ

近年増えている「カフェインゼロ」を謳う商品の中には、元々カフェインを含むものからカフェインを取り除いて「カフェインゼロ」としている商品がございます。

しかし、カフェインを取り除く方法が完璧かどうかを判断することは困難で、測定器の限界から、カフェインがすり抜けて残っている可能性も十分にあります。このような商品を「カフェインゼロ」と呼ぶこと自体、無理があるようにも思えます。

これは同時に、「カフェインゼロ」と思われていたものが、高度な計測器によって「カフェインゼロ」でなくなる可能性をも感じずには居られません。

その商品で調子を崩さないとなれば、様子を見ながら摂ることも出来るかも知れませんが、それが万人に当てはまるとは限りません。勿論、それぞれの判断は大切ですが、安易な提案や助言を他者に行うことは避けたいところです。

【参考ウェブサイト(ページ)】

キリンビバレッジ 商品情報「カフェインゼロ生茶」
生活の木 商品紹介 「ハーブコーヒー」

★公開日: 2017年3月15日 最終更新: 2017年4月21日★

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