【シリーズ】エナジードリンクがもたらした功罪 〜1. 何故ここまで広まったのか〜

近年、品数や売り上げが伸びている「エナジードリンク」。私がカフェインを受け付けなくなって以降に広まり始めたため、私自身は飲んだことが無いのですが、すっかりその虜になっている方も多いようです。

しかし、そのカフェインの多さから世界各地で重大事故が発生しており、日本でもカフェインの過剰摂取による死亡例を農林水産省が発表し、厚生労働省もウェブサイト上のQ&A方式でカフェインの過剰摂取に警鐘を鳴らしています。

エナジードリンク全てが、または、エナジードリンクだけが悪者ということは出来ませんが、カフェインの過剰摂取に陥りやすいものであると私も懸念するところがありました。

そこで、不定期連載になりますが「エナジードリンクがもたらした功罪」と題して、数回に分けてエナジードリンクとそれをとりまく現状に迫ってみます。

今回は「何故エナジードリンクが広まったか」について、独自の見解もございますが、一緒に考えてみましょう。あくまで「理由のひとつ」としてお考えいただければ幸いです。

そもそも「エナジードリンク」と「栄養ドリンク」は何が違うの?

栄養ドリンクは英語で”energy drink(エナジードリンク)”と呼ばれますが、日本において、エナジードリンクと栄養ドリンクは似ているようで実は異なるものであると解釈されています。

その違いは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧: 薬事法)」が大きく関係しています。日本における「エナジードリンク」には、同法で規制されている成分を含まない、または規定以下の容量で含むものとなっています。

そのため、エナジードリンクは「清涼飲料水」の扱いとなっています。つまり「食品」なのです。商品の案内として効能や効果、用法などを記載することは出来ません。

しかし「清涼飲料水(食品)」であるため、販売場所の規制を大きく受けるものでも無いように思います、スーパーやコンビニエンスストアなど、ジュースやお茶などが並ぶところにエナジードリンクがあっても何らおかしくは無いのです。

そのような状況であれば、エナジードリンクを比較的簡単に手に取ることが出来ます。一般的な清涼飲料水より高いものの、欲しいと思った時にすぐに買えるという印象があるのではないでしょうか。

一方、栄養ドリンクは「医薬品」や「医薬部外品」として取り扱われるものがあります。それらであれば「栄養補給」「滋養強壮」などといった効能を謳うことも出来ますし、「1日1回1本まで」などといった用法も記すことが出来ます。

以前は「栄養ドリンク=医薬品」つまり、薬局や薬店でしか買えないものだったのですが、1993年の規制緩和により、その多くが医薬部外品となり、スーパーやコンビニエンスストア、自動販売機などでも販売されるようになりました。

医薬品扱いの栄養ドリンクは「第2類医薬品」または「第3類医薬品」となっているケースが多いです。これらは薬剤師や登録販売者が販売出来ます。どこでも買える訳ではありませんが、商品を手に取ることが出来るだけでなく、通信販売でも買えるようになっています。

とは言え、清涼飲料水を買う感覚で栄養ドリンクを買おうという気持ちにならない方も多いでしょう。効能やパッケージなどから、買うにも何となくハードルが上がっている感じがありますね。

エナジードリンクの隆盛は自動販売機の変化にもある?

私がまだ子どもの頃、自動販売機で販売される清涼飲料水の殆どが100円でした。1989年4月より消費税が導入されたことで商品の値段が上がり、今は一般的な缶飲料だと130円のケースが多いですね。

消費税導入前は「基本的には100円玉1枚で買うもの」という感覚があったのか、500円玉や1,000円札が使えない自動販売機も結構多かったように記憶しています。

それがいつしか、500円玉や1,000円札が使える自動販売機が増えました。ある意味で時代のニーズに応えた結果でしょう。2000年に500円玉、2004年に1,000円札のデザインが変わりましたが、それらに対応した自動販売機の登場は案外早かったように思います。

さて、自動販売機で販売される清涼飲料水も以前は缶飲料が殆どで、瓶飲料が1つ2つあるかどうかと言った商品内容でした。容量(商品の大きさや高さとも言えます)や価格もある意味で統一されていました。それが今ではペットボトルが増えて、容量も価格も様々になりました。

余談ですが、近年はチョコレート菓子やポテトチップス、グミキャンディなどが清涼飲料水と共に販売されている自動販売機も見られます。それらの容器は紙やプラスチックなどで、自動販売機で販売される商品の容器にも縛りが無くなった印象を受けます。

さて、自動販売機で販売されているエナジードリンクは200円のケースが多いように感じます。200円であれば、100円玉2枚で買う方もあると思いますが、500円玉や1,000円札で購入する方も多いでしょう。

容量も190mlや250ml、中には355mlなどといったものもあります。自動販売機では高額でありながらも、割と買いやすい環境になったのではないかと考えます。その気軽さが、エナジードリンクの流行や広まりを後押ししたと言えるでしょう。

「エナジードリンク=カッコイイ」というイメージ戦略

個人的な意見ですが、エナジードリンクの公式サイトを見ていると、一般的な清涼飲料水や栄養ドリンクのそれとは異なり、どこか尖っていて、どこかワイルドな印象を受けます。

一般的な清涼飲料水だと、例えば学校帰りに飲んだり、パーティーなどで大勢が集まる場所で提供されたりといったシーンが目に浮かびます。家族での団らんで清涼飲料水が出ても特に不思議ではないように思います。

一般的な清涼飲料水には、楽しさの中にも「ひと息つく」「和やかさ」などと言ったイメージがあるように感じられます。強めの炭酸飲料だと少々違うところもあるかも知れませんが、多くの場合で当てはまるように思います。

一方、エナジードリンクは、例えば仕事や勉強などでもうひと頑張りが欲しい時に飲んだり、スポーツ観戦やライブハウスなどで口にしたりなど「カッコイイ」というイメージを抱く方が多いのではないでしょうか。

確かにウェブサイトを見ても「忙しい時」「これから仕事に向かう時」などにエナジードリンクを勧めるケースが多く見られます。現時点のウェブサイトでは確認出来ませんでしたが、TVコマーシャルでスーツ姿のビジネスマンが登場するものもありますね。

モータースポーツやエクストリームスポーツなど、荒々しさも感じられるスポーツの写真も多く使われています。スポンサー契約もあるのでしょうね。世界各国ミュージシャン(その多くはロックバンド)が登場するサイトもあります。

また、スタイルの良い女性を商品のイメージガールとして登用している商品もあり、それらの写真や動画を見て「カッコイイ」「キマっている」「イケている」などと思う方も多いのではないでしょうか。

更に、エナジードリンクと他の飲み物を足して新たな飲み物を作るケースも耳にします。個人で飲むために行っている方もあれば、バーなどで販売しているケースもあるそうです。

「エナジードリンクを飲めば、一気にやる気がみなぎる」
「エナジードリンクを飲めば、たるんだ自分にムチを打つことが出来る」
「エナジードリンクを飲めば、カッコイイ自分がそこに居る」

そのような思いでエナジードリンクを口にする方もあるでしょう。そう考えると、エナジードリンクが一家団らんの場で出るというのは考えにくいですね。

【今月のまとめ】

日本において、エナジードリンクは栄養ドリンクとは異なり「清涼飲料水」として販売されています。高い値段でありながらも、スーパーやコンビニエンスストアなどでも販売されていることから、気軽に買いやすい印象を受けます。

エナジードリンクは自動販売機でも並べられているケースがあります。自動販売機そのものが時代のニーズに合わせて変化しており、これもまた、エナジードリンクの人気に一役買っているところがあると見られます。

エナジードリンクは清涼飲料水であるため、効能や用法などを記すことが出来ません。そのため、宣伝方法にも工夫が求められているのですが、全体的に「カッコイイ」と思えるものを取り入れて、栄養ドリンクや他の清涼飲料水との差別化を図っています。

こうした戦略はあくまで一部かと思いますが、それらが功を奏して、エナジードリンク市場は盛況しているものと考えられます。

【参考ウェブサイト(ホームページ)】

◉ 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
◉ 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」
◉ レッドブル・ジャパン レッドブル・オフィシャル・ウェブサイト
◉ モンスターエナジー
◉ 大正製薬 RAIZIN
◉ All About 健康・医療「1類、2類、3類…「第○類医薬品」の違いは何?」
◉ Wikipedia「栄養ドリンク」
◉ 同「消費税」
◉ 同「五百円硬貨」
◉ 同「千円紙幣」

LINEで送る
Pocket