南アフリカの恵みに感謝 〜日本で市民権を得たルイボスティーの行方〜

ひと昔前までは「日本でよく見かけるノンカフェインのお茶」の代表格と言えば「麦茶」でした。麦茶は今もなお根強い人気を誇っていますが、近年ではそこに「ルイボスティー(ルイボス茶)」が加わってきています。

ルイボスティーは南アフリカ共和国原産で、一見すると紅茶にも似た雰囲気があります。しかし、紅茶には含まれるカフェインがルイボスティーには無く、タンニンも少ないことから、幅広い年代に受け入れられるものとなっています。

現在では大手飲料メーカーがルイボスティーを販売するようになっています。そこで今回は「ルイボスティー」に注目し、その良さと気がかりな点について一緒に考えてみたいと思っています。

南アフリカ共和国でしか収穫出来ない恵みゆえの問題

ルイボスティーは「ルイボス」の葉を使いますが、先述の通り南アフリカ共和国で収穫されます。しかも、ルイボス自体は西ケープ州ケープタウンの北に広がるセダルバーグ(セデルバーグ)山脈一帯にのみ自生していると言われています。

日本やオーストラリア、中国、アメリカなどの国で栽培実験が行われていたという記述もありますが、2018年現在、南アフリカ共和国以外が産地となっているルイボスティーを見かけることはありません。

セダルバーグ山脈一帯は乾燥した砂だらけの土地で、ルイボスだけが生い茂っていると言われています。土壌中の微生物と共生することで、しっかりと生い茂るようになったのでしょう。

AFP通信が2012年に発表した記事によると、年間1.2万トンものルイボスティーが生産され、その半数が海外に輸出されているようです。また、2000年からの13年間で年間輸出量が4倍になったとも記されています。

ルイボスティーの高まる人気から、農園では新たな雇用も生み出していますが、何もかもが順風満帆であるとは限りません。セダルバーグ山脈一帯でしか育たないことから、その地域の環境の変化がルイボスティーの今後を左右しているとも言われているのです。

南アフリカ共和国の化学産業研究会議でも、世界中で異常気象をもたらしている「温暖化」により、この一帯も影響を受ける可能性が高く、それがルイボスを育たない環境にしてしまうという予測も立てているのです。

ルイボスティーの年間生産高(1.2万トン)はティーカップ48億杯分に相当するため、今の時点では問題無いのかもしれませんが、今のうちに今後の人気の高まりや、万が一にルイボスが育たない環境になった時のことを考えることが大事なのかも知れません。

ルイボスティーを紅茶や緑茶などの代わりにする動き

そもそも、ルイボスは先住民のコイサン人が薬草として採集し、お茶にして飲んでいました。その後、オランダ人が入植し、ルイボスティーを紅茶代わりに飲むようになりました。

紅茶と言えば、ストレート以外にもミルクやレモンなどを入れて楽しむ方が多いのではないでしょうか。それと同様に、ルイボスティーにもミルクやレモンなどを加えるケースも多く見られます。

このような話を綴ると、ルイボスティーにミルクやレモンなどを加えだしたのはオランダ人だろうと思う方もあるかも知れませんが、元々、南アフリカ共和国で牛や山羊の乳と砂糖を入れて飲む方法が一般的だったと言われています。

南アフリカ共和国のカフェでは、ルイボスのエスプレッソの他、カフェラテ風やカプチーノ風といったコーヒーに似せた飲み方もあると言われています。

2017年4月のマンスリーコラムで紹介した「グリーンルイボスティー」は、緑茶のように不発酵で仕上げたものです。湯呑みに出しても違和感の無い見た目で、緑茶には無いサッパリ感が得られます。このような楽しみ方が出来るのもルイボスの強みでしょう。

(※ 写真の「生活の木 有機グリーンルイボスティー」は2018年にリニューアルされ、2018年8月現在は「ルイボスグリーン」という商品名で販売されています)

耳慣れない商品に挑戦するのは結構勇気が要るかも知れませんが、ルイボスティーの場合、紅茶やコーヒー、緑茶などと同じような楽しみ方が出来るということで、ハードルの高さは感じられないかも知れません。

大手メーカーも続々とルイボスティーを売り込んでいる

私自身が最初に「ルイボスティー」の存在を知ったきっかけは、格闘技団体の「パンクラス(PANCRASE)」でした。抗酸化(活性酸素除去)作用が強いことから、所属選手が愛飲しているという話を聞いたのが最初でした。

格闘技好きの家族がドラッグストアでルイボスティー(ティーバッグ)を買い「これは確かに美味しい」と言いながら一緒に飲んだことも記憶しています。その当時はドラッグストアが頼みの綱だったかも知れません。

しかし、現在ではスーパーやコンビニエンスストア、100円ショップなどでも買えるようになり、茶葉(ティーバッグ)以外にも、ペットボトルですぐに飲める商品も登場しています。伊藤園の「ヘルシールイボスティー」はその火付け役ともなったでしょう。

2018年からは、イオンのプライベートブランド「トップバリュ(TOPVARU)」シリーズから「濃くてまろやかな味わい ルイボスティーティーバッグ ノンカフェイン」が発売され、いよいよルイボスティーが日本で市民権を確立したと感じました。

上述の通り、ルイボスの原産地が1箇所でかつ地球温暖化の影響も懸念されることから、爆発的に広まると後が続かないのではという心配がありますが、このような商品がルイボスティーへの入り口となること自体は悪いことでも無いのでしょう。

ルイボスティーもフレーバーで楽しむ時代へ

これまで紅茶が主体だった「フレーバーティー」も、近年では緑茶やほうじ茶にも拡大しています。その動きはルイボスティーでも顕著に見られます。

世界中のお茶を販売しているルピシアでは、通常のルイボスティーやグリーンルイボスティーに加え、フレーバールイボスティーも多く販売しています。

上の写真の「キャラメル&ラム」は、キャラメルとラムの香りが加わり、滑らかで大人向けの口当たりなっています。また、ルイボス同様に南アフリカ共和国原産の「ハニーブッシュ」も使用し、甘さが際立っています。

(※ ここでの「ラム」は香料であり、ラム酒を使った品ではありません。また、キャラメルも香料です)

こちらの「ルイボスアールグレイ」は、ベルガモット(香料)の香りをまとい、紅茶のアールグレイを再現したものとなっています。味の面で紅茶と決定的に異なるのは渋みの少なさでしょう。

ルピシアでは2018年8月現在、ルイボスティーだけで11種類の定番商品を揃えています。店頭ではサンプルを見るだけでなく試飲も可能となっているので、安心して購入することが出来るでしょう。

ペットボトル入りのルイボスティーでも、フレーバーティーが販売されています。写真は伊藤園の「はちみつレモンルイボスティー」です。残念ながら既に販売終了となっていますが、ジュース感覚で子どもにも飲みやすいものとなっていました。

蜂蜜を使うことで100mlあたり37キロカロリーとなっていましたが、レモンとルイボスのお蔭で甘さばかりが先走るものではありませんでした。

2018年8月現在で販売されている品のひとつに、スーパーマーケットの成城石井がオリジナル商品として販売している「ルイボスジンジャーカモミールティー」があります。高知県産の生姜とカモミールをブレンドしたもので、大人向けとなっています。

成城石井には他にも「ルイボスミントティー」があり、店のイメージにもある大人っぽさや高級感、独自性といったものが感じられるラインナップとなっています。

こうして見ると、ルイボスのフレーバーティーは、紅茶のそれ以上に独創的にも感じられます。ルイボスティーがそれだけ柔軟性が高いものとも言えるのかも知れませんね。

今月のまとめ

近年、日本でも人気を確立してきたルイボスティーは、南アフリカ共和国の限られた地域でのみ栽培された「ルイボス」から作られます。原住民は薬草としてルイボスと活用し、入植したオランダ人は紅茶代わりにルイボスティーを飲んでいたと言われています。

南アフリカ共和国ではルイボスティーに牛や山羊の乳と砂糖を加える飲み方が一般的で、コーヒーにも似た飲み方もあると言われています。発酵させないグリーンルイボスティーは緑茶代わりにもなるでしょう。

日本でも現在は大手メーカーがルイボスティーを販売するようになり、購入時のハードルは下がっているように思います。また、紅茶以上に独創的なフレーバーティーも広まりを見せています。

本記事では余り触れていませんが、柔軟性が高く飲みやすいルイボスティーは健康効果が高く、現在も研究が進められています。ルイボスティーは「単にノンカフェインであるから」という理由以外でも注目され続けるでしょう。

ルイボスティーは年間1.2万トンもの生産があり、その半数が世界各国に輸出されています。新たな雇用が生まれる一方で、地球温暖化による生産減や枯渇も危惧されています。現時点では問題無いとしても、将来的なことは今からでも考えるべきでしょう。

【参考ウェブサイト(ページ)】

◉ Wikipedia 『ルイボス』
◉ AFP通信 『ルイボスティーが飲めなくなる?気候変動でルイボス消滅の危機 南ア』
生活の木 『新しくなったルイボスティー』
伊藤園 「ヘルシールイボスティー」特設サイト
トップバリュ 詳細情報 「濃くてまろやかな味わい ルイボスティーティーバッグ ノンカフェイン」
ルピシア 「選べるおいしさ、11種類 ルイボスのある暮らし」

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