ボタニカルという言葉に抱く幻想 〜時に身に付けてしまうカフェイン〜

近年「ナチュラル(自然)志向」が強まりつつあることから、「自然(天然)のもの」に回帰する方が増えている用に思います。服や染料、香りだけでなく、化粧品や日用品などでも「化学的なもの」から脱却していく動きも見られます。

「植物性」「植物由来」に加え、ここ数年で「ボタニカル」という言葉も広まってきました。これらの言葉を聞くと安心感があると考える方も多いようですが、果たしてそれは本当なのでしょうか。

そこで今回は、カフェインという観点から「ボタニカル」が本当に安心・安全なのかを検証し、一体どのようなことに気をつけるべきかを見ていくことにしましょう。

そもそも「ボタニカル」って何?

「ボタニカル」をアルファベットで書くと”botanical”です。形容詞で「植物の」「植物由来の」という意味もありますが、「植物学(上)の」「植物学的な」という意味もあります。

これらの意味から「ボタニカル」と銘打った商品は「植物を使っている」ということが想像つくかと思いますが、「原料が全て植物である」とは限りません。化学的なものが入っているケースも決して珍しくないのです。

私はかつて、「ボタニカル」と「オーガニック」の違いが分からないという声を聞いたことがあります。「オーガニック」は「有機栽培」や「有機農業」などのことで、化学肥料ではなく有機肥料を用いたものを指しています。

そのため「ボタニカル」と「オーガニック」が併記されているケースもあります。「ボタニカル」で「オーガニック」となれば「いよいよ安全だ」「誰にでも優しい」などという声も聞こえそうですが、そこで安心するのはまだ早いです。

チャ(葉)エキス入り洗顔フォームで顔を荒らした管理人が語る

2012年9月のこと、普段通りに洗顔フォームで顔を洗っていると、顔に痒みを覚えるようになりました。常に顔を掻いてしまう状態になりながらも、特に習慣を変えずに居たところ、ニキビが急激に増え、カサカサとした赤ら顔になったのです。


これがその当時の写真です。肌はガタつき、不自然な色味になってしまいました。この時点で既に、カフェインが合わないことを自覚していましたが、使用中の洗顔フォームにカフェインが含まれていたことに気づいたのは、それから数日後でした。

この時、使用していたものとは別に洗顔フォームを持っており、すぐに切り替えたのですが、実はこれも「チャ葉エキス」が入っていたのです。そのことに気づかぬまま数日使ってしまった結果、痒みが増し、まぶたが腫れる事態となったのです。

ここまでの2つの洗顔フォームは諦め、カフェインが含まれない洗顔フォームに切り替えたところ、これ以上の症状悪化は見られませんでした。そして皮膚科に行き、軟膏と錠剤で治療することとなりました。


治療開始から1週間後の写真です。見るからに痛々しい状態からは解放されましたが、結局、治療終了までに2年を要してしまいました。幸い、この時のお医者様が理解ある方で、本件とカフェインとの因果関係は否定出来ないと仰ってくださいました。

これらの商品に「ボタニカル」という文字はありませんでしたが、「チャ(葉)エキス」の文字を見て「あ、植物由来(ボタニカル)だ」と思ってしまう方もあるかも知れません。私にとって、しっかりと内容を見ないと痛い目に遭うという事例となりました。

チャ(葉)エキスを含む洗顔フォームは2018年になった今でも複数販売されています。全体が緑色をした「お茶石鹸」なるものもあるほどですから、カフェインを気にされる方は十分に注意したいところです。

洗顔フォームだけに気をつければ良い訳ではない

チャ(葉)エキスを含む商品は洗顔フォーム以外にもあります。2018年からは、夏になれば必ず使うと仰る方も多い日焼け止めで「チャエキス」が含まれる商品が出ていることが分かりました。

この商品の公式サイトによると、商品のキャッチコピーで「ボタニカル」の文字が現れます。茶葉については「カテキン」と「ビタミンC」に触れた上で、抗酸化作用と弾力のあるみずみずしい肌に導くことに期待が持てるとしています。

茶にかかる期待は大きく、抗酸化や保湿以外にも、消臭や抗菌などの効果を見込んで使われるケースも多くあるようです。かつて綴ったマンスリーコラムでも、自然派と謳った歯磨き粉やマウスウォッシュなどでチャ(葉)エキスが含まれる事例をお知らせしています。

「茶」と聞けば葉を思い浮かべがちですが、「花」のエキスを使った商品が、シャンプーやコンディショナー、トリートメントなどに見られることを確認しています。商品は「和草」を大きく掲げ、地肌に潤いを与えることを見込んでの配合だそうです。

どの商品にも共通して言えるのは「身体に触れるもの」であること。ゆすいだり洗い流したりするものもありますが、上述の洗顔フォームの件を考えると、少しの時間であっても触れさせ続けたことで異常をきたした事例もありますので、注意が必要です。

ココアバターも見落としてはならない

カフェインと直結する材料は「茶」だけではありません。カカオ豆から取れる「ココアバター(カカオバター、カカオ脂)」にも注意が必要です。

かつて私は、ココアバターが使われたハンドクリームを塗って、腕にしびれを覚えた経験があります。ココアバターが使われたハンドクリームは複数、出回っていることを確認していますので、カフェインを気にされる方は十分に警戒すべきです。

ここでも「ボタニカル」と謳った商品があります。「バター(脂)」とあることから、保湿の役割を担っていると考えられますが、ハンドクリーム以外でもボディークリームやリップクリーム、入浴剤などに含まれるケースがございます。

また、ココアバターが単独で販売されていることから、手作り化粧品で使われるケースも多く見られます。既成品のように材料が明記されると良いのですが、そうでない場合には作り手に確認を取ることが大事です。

※ 化粧品の販売には、薬機法(旧: 薬事法 正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)が適用されます。許可なく手作り化粧品を販売することは出来ません。

今月のまとめ

「ボタニカル」という言葉の広まりから、植物を使った商品が注目されるケースが増えています。必ずしも「植物由来の材料100%」という訳ではありませんが、少しでもそのような材料が含まれることで安心感を覚える方も多いでしょう。

しかし、実際にそのような商品を使う際には、使われている植物が自身に合うかどうかを確認する必要があります。確認を怠ったがために、身体に異常が出たり、長く通院をすることになったりした事例もあります。

カフェインで考えた場合、茶(チャエキス、チャ葉エキス、チャ花エキスなど)や、ココアバター(カカオバター、カカオ脂など)に注意する必要があるでしょう。「ボタニカル」と謳う商品にも含まれるケースが見られます。

「ボタニカル」という文字に安心しすぎないこと。また、「ボタニカル」の文字の有無に関係無く、原材料のチェックをくまなく行うこと。これらは大原則として肝に銘じておくべきでしょう。

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