カフェインを避けるという熱中症対策 〜大事な水分を失わないために〜

「平成30年7月豪雨」により、広範囲で甚大な被害が発生しました。被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げますと共に、一刻も早い復興を心よりお祈りいたします。

豪雨発生後、天気は回復しましたが、今度は全国的に猛暑となりました。岐阜県の多治見市や美濃市などで最高気温が40℃を超えた日があるなど、各地で最高気温が35℃を超える「猛暑日」が記録され続けています。

連日のように熱中症による救急搬送のニュースを耳にしますし、「命を守る行動を」「ためらわずに冷房を使いましょう」などといった言葉も聞かれるようになりました。根性論ではどうにもならない暑さと言えます。

熱中症対策は様々ありますが、今回の豪雨災害や猛暑の様子を見ながら、私の心にかなり引っ掛かる事案が複数見られました。それらに共通することは「カフェインと熱中症の関係」です。

そこで今回は、毎月15日に更新する「マンスリーコラム」とは異なる「緊急コラム」として、カフェインを避けるという熱中症対策について、これまでのブログやマンスリーコラムで取り上げたことも含めて綴ってまいります。

水分補給のはずが、かえって脱水状態を呼ぶカフェイン

ここ数日、私の家族の中に、日中に自転車で近隣の世帯を回っている者が居ます。当人はこれまで、夏場に動き回る際は日焼けや虫刺されの対策を厳重にするものの、水分補給については「冷たい飲み物であれば何でも良い」という感覚で居たようです。

先日、出先から戻ってくるなり、空になった大きめの缶コーヒーを取り出していました。「いやぁ暑かった」と言いながら、搾れる位に汗だくになった服を脱いでいる様子を見て私は、もし缶コーヒーを摂っていなかったら、ここまでの汗にならないだろうと確信しました。

そもそも「カフェイン」には利尿作用があります。カフェインを摂取すれば、暑さから汗で水分が抜けやすいところに加えて、体内からさらに水分を奪い取ることにもつながります(後述しますが、私もそれで酷い目に遭ったことがあります)。

自転車で回る活動はその後も続くため、私は休憩をこまめに取ることと、カフェインを含まない飲み物に切り替えることを提案しました。カフェインの利尿作用も説明し、コーヒーやお茶類(緑茶や烏龍茶など)は作業のお供にしないよう念押ししました。

しかし、その翌日のこと。以前から私が懸念していたことを家族が起こしてしまったのです。

カフェイン入りの「甘い水」で大騒動!?

この日もまた、家族が午前から日中にかけて自転車で回ると言うので、前日の話を繰り返して送り出しました。数時間後、帰宅すると空のペットボトルを取り出していました。「これは美味しかった」と当人は上機嫌でした。

ペットボトルを見て私は唖然としました。実はこの商品が「透明な紅茶」と呼ばれるもので、カフェインがしっかり含まれるものでした。当人はパッケージの桃の絵を見て「桃味の甘い水」と思ってしまったようです。

「喉が乾くからゴクゴクいけたよ」と話していましたが、前日の缶コーヒーよりも明らかに多い量を飲み干していたのを見て、私は単純な喉の渇きによるものではなく、カフェインの作用もあるのでは?と疑いました。

すると、家族は「やっぱり喉が乾くなぁ」と言って、水道水やノンアルコールカクテルを口にし、その後は「動き回ってしんどいや」と言って、冷房がきいた部屋で2時間ほど横になっていました。その様子を見て脱水症状が進んでいたものと確信しました。

幸い、起きた段階で回復していたのですが、今思えば、広く言われている「熱中症重症度」のⅡ度にあったのかも知れません。素人ながらも、カフェインが脱水症状を呼び、それが熱中症を酷くしていたと考えています。

この件を受けて、家族も作業中の飲み物に多少なり気を遣うようになったのですが、本人が好きなものばかりを選んでしまうため、カフェインとは別の心配もあったりするのです。

被災地でカフェイン入りの飲み物は考えもの

平成30年7月豪雨では、土砂崩れや浸水などにより多くの方が避難生活を余儀なくされました。避難に至らなかった方も、ライフラインや道路、鉄道などが寸断されるなどして、大きな影響を受けました。

被災地には救援物資として、飲食物が支給される様子がTVや新聞で報じられました。これまでの多くの災害の教訓でしょうか、飲料水の種類も様々でしたが、その中に緑茶や烏龍茶などのペットボトルが並んでいたことに、私は引っ掛かりを覚えていました。

冷房がきいている中であれば、そこまで引っ掛からなかったかも知れません。しかし、避難所の中には冷房自体が無いところがあり、加えて停電した地域も多くありました。暑い中でそれらを飲むことになるのです。

お茶自体は口の中がサッパリするでしょうし、多くのメーカーで販売されて味も安定しているという強みもあります。格安で手に入ることも珍しくありません。

しかし、今回のような猛暑の中でカフェインを多く含むお茶が適切な支給品だったかどうか?と言うと、そうも言えないように思います。先述の脱水症状を考えると、飲み方ひとつで身体への悪影響が出ることが容易に想像つくからです。

今回の豪雨災害では断水箇所も多く、復旧までに1週間以上を要した地域もあります。飲み物が中々手に入らない中での支給とは言え、個人的には本当にそれで良いのだろうか?と考えさせられました。

被災地での不用品撤去作業や清掃などのボランティアにあたる方の中でも、緑茶や烏龍茶のペットボトルを片手に作業をされる方の様子が多く見られました。

炎天下での重労働では汗をしっかりかきますし、体力の消耗も激しいです。「お茶が好き」「お茶じゃないと嫌」などと言われれば、むやみに「お茶を飲むな」とも言えませんが、飲み方には十分に注意が必要です。

熱中症対策に適した飲み物とは?

近年、熱中症対策として「水分と塩分をこまめに摂りましょう」といった案内がよく聞かれます。以前は「水分をこまめに」と言われていましたが、汗とともに流れるナトリウムを補うために塩分も必要であると言われるようになりました。

そのことから、水よりもスポーツドリンクを飲むことが推奨されています。大塚製薬のサイトの中では、日本体育協会の推奨する飲み物として「0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml)と糖質を含んだもの」と紹介しています。

また、スポーツドリンクや経口補水液を利用するのが手軽ですが、「1リットルの水、ティースプーン半分の食塩(2g)と角砂糖を好みに応じて数個溶かしてつくることも出来る」と併せて紹介しています。

市販のスポーツドリンクでカフェインが含まれるケースはごく稀にあるようです。また、市販のスポーツドリンクでは糖分が多すぎると考える方もあるかも知れません。その場合は、上記の割合を参考にして自作するのも悪くないでしょう。

糖分(糖質)が含まれる理由として、腸管での水分吸収を促すことが挙げられています。糖分のうち「ブドウ糖」は、ナトリウム(塩分)と一緒にある場合は速やかに腸管に吸収され、それに引っ張られるように水分も吸収されるとのことです。

尚、水分補給をする際の温度について、グリコの特設サイトでは、環境省の2014年版のデータを引用して「運動時や熱中症対策をしたいときなどには5~15℃の水分を補給すると良い」と紹介しています(2018年版でも同様の記述があります)。

普段の生活であれば、冷たいものは内臓への負担になるのですが、運動時や熱中症時など熱を冷ますことを考えたら、ある程度冷えたものが良いのでしょう。くれぐれも一気に飲みすぎないように気をつけたいですね。

食べ物だってカフェインが潜んでいる

東日本大震災や熊本地震などでは、避難生活に入ったり、電気が水道などが止まったりしたことなどにより、被災された方が十分に食事を摂れない事案が多く発生しました。今回の豪雨災害でも食事の面での苦労が多く聞かれました。

豪雨災害の被災地でも炊き出しが行われていましたが、炊き出しでよく提供される「カレー」には夏ゆえに心配するところがありました。食中毒もさることながら、カレールーにカフェインが混入するケースが間々あるためです。

2010年の夏のこと、私はその当時勤務していた会社の方とランチに出て「カレー」を食べました。それから1時間ほど経過したところで急に脱水症状と焦燥感に見舞われたのです。そのカレーには少なくとも、ココアが含まれていたようです。

カレーは元々熱い食べ物である上に、スパイスで汗をかきやすくなります。そこにカフェインが加わったことで脱水症状が進んでしまったのです。多少、朦朧(もうろう)とした状態にもなりました。

脱水症状に気づいてからは、お茶やスポーツドリンクを800mlほど飲んで何とか持ち直しました。普段では想像が付かない量の水分を摂ったことに驚くと同時に、脱水症状の恐ろしさも痛感した出来事でした。

カレーにカフェインが入ってしまうケースとしては、販売しているルーの時点でココアを加えたり、作り手側で「隠し味」としてインスタントコーヒーやチョコレートを入れてしまったりすることがあります。この2つの合わせ技を見せるケースもあります。

カフェイン要素を含んでいないルーで「隠し味」を入れずに作ったカレーであれば良いのですが、そうでない場合は脱水症状をいっそう進めるカレーになってしまうのです。材料が分からないと、そこまで見抜けないという心配もあります。

また「カレー」は必ずしも「ライス」とは限らず、ナンやチャパティと食べたり、カレーパンやカレーうどんになったりするケースもあります。私が脱水症状を起こした「カレー」はカレーパスタだったのです。

万人受けをし、手軽にかつ沢山作ることが出来るのもあって、カレーが炊き出しで提供されるケースが多いように思います。しかし、今回の猛暑の中では、特に慎重な扱いが必要ではないでしょうか。

尚、カレーに入れられることが多いチョコレートも、熱中症対策を考えた場合には気をつけたい食べ物と言えるでしょう。

今回のまとめ

7月上旬に「平成30年7月豪雨」が発生し、雨が収まると全国各地で猛暑日を記録した2018年の夏。熱中症で緊急搬送されるというニュースも毎日聞かれ、警戒を呼びかける声も例年になく強いものとなりました。

熱中症の症状の中には「脱水症状」があります。水分補給が足りていないからと思いがちですが、量としては十分であっても「カフェイン」が含まれることで脱水症状を強めてしまうこともあるのです。

コーヒーやお茶など「見た目」で分かるカフェイン含有物だけでなく、透明な水に見せかけたカフェイン入り飲料でも脱水症状が疑われる案件が発生しました。熱中症重症度でⅡ度に相当するものでした。

豪雨災害で支給された飲み物や、ボランティアに入った方が炎天下で口にしていた飲み物に緑茶や烏龍茶が多かったことに、私個人としては強く心配しています。暑さで汗が出やすく、体力消耗が激しい中での摂取には注意したいです。

熱中症対策に向いている飲み物は、塩分と糖分がバランス良く含まれる水で、スポーツドリンクや経口補水液などが挙げられます。自分で作ることも可能で、5〜15℃に冷やしたものが良いとされています。

カフェインの心配は飲み物だけでは済みません。一部のカレーには、カフェインを含む材料が足されており、過去に私自身も強い脱水症状に見舞われたことがあります。炊き出しで提供されることが多いだけに、食中毒とともに注意が必要でしょう。

作業中の糖分補給でチョコレートを口にする方も多いかと思いますが、こちらもカフェインに注意が必要です。カフェインを避ければ熱中症対策が万全になるとは言えませんが、リスクを1つでも減らすことは大事だと思います。

繰り返しになりますが、今回の豪雨災害の被災地が一刻も早く復興されることを心よりお祈りすると同時に、私自身も出来る支援を行いたいと考えています。

【参考ウェブサイト(ページ)】

環境省熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)について学ぼう」
同「熱中症環境保健マニュアル2018」(※ 資料はPDFファイル)
大塚製薬 「熱中症からカラダを守ろう 効率的な水分補給」
グリコ POWER PRODUCTION MAGAZINE 「水分補給におすすめの飲み物とタイミング」

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