危険な「水」が増えている 〜「水」とは言えない隠された罠〜

2017年6月の「マンスリーコラム」で、水に見せかけて実はカフェインを含んでいる飲み物を取り上げました。あれから1年。このような飲み物の市場は私の予想を遥かに超える進展を感じています。

市場に進展があるということは、歓迎されていると見ることも出来ますし、真新しさを求める方が多いことも予想出来ます。しかし、進展していく状況を見て、私が1年前に感じた不安を払拭することは出来ず、むしろ新たな不安要素も生み出しています。

そこで今回は「水に見せかけたカフェイン入り飲料」の1年後を検証し、そこに隠された問題点を追及していきます。今回の記事では、カフェインの他、ある重大なアレルギー物質への言及もいたします。

「透明なコーラ」が陳列棚に並ぶ日

日本コカ・コーラは2018年6月11日より「コカ・コーラ クリア」を全国発売することを発表しました。通常「コカ・コーラ」シリーズはアメリカで企画開発されるそうですが、この商品は日本で企画し、アメリカ本社で開発されたとのことです。

「コーラ」と言えば黒みがかった茶色を思い浮かべますが、それは「カラメル(色素)」によるものです。今回の商品にカラメルは使わず、味や刺激のバランスを整えながら試飲も重ね、レモン果汁を足してゼロカロリーに仕上げたとのことです。

日本コカ・コーラでは、通例的にカフェイン含有量は明記せず、お客様相談室に問い合わせて初めて分かる(しかも問い合わせた内容も含めて他言不可)という、消費者にとって極めて面倒かつ厄介な姿勢を取っています。

今回の商品も原材料欄に「カフェイン」とあっても、どの程度なのかは不明です。

今回の商品は、日本コカ・コーラが販売し、商品名にも「コーラ」とあるだけに、店頭では一般的なコーラと同じ棚に並ぶものと見られます。そうなれば、純粋に炭酸水を買おうと思った方が誤って購入するケースは多少なり抑えられるものと予想します。

しかし、「水に見せかけたカフェイン入り飲料」の多くは、「水」の棚に置かれてしまいます。2017年6月に公開した記事以降に発売された飲み物を例示しながら、予測される事態を一緒に考えていきましょう。

原材料が紅茶やコーヒー、烏龍茶であっても「水」なの?

2017年6月公開の記事では、サントリーの「プレミアムモーニングティー レモン」を取り上げました。その後暫く販売されたものの、同年秋から冬にかけては下火になっていました。しかし、2018年の春頃から、再び店頭に多く並ぶようになりました。

「レモン」が店頭から消えていた間は「プレミアムモーニングティー ミルク」が主力となり、2018年5月には新商品として「プレミアムモーニングティー 白桃」が登場しました。2018年6月時点では3種類の「透明な紅茶」が店頭に並んでいることになります。

3種類の100mlあたりのカフェイン含有量は、「レモン」と「白桃」が各13mg、「ミルク」は約20mgと公表されています。「レモン」は2017年の発売当初、約10mgとあったため、再登場を機にカフェイン含有量が増えてしまったことになります。

いずれの商品も、サントリーで販売されている紅茶飲料(リプトンシリーズ: 2018年6月時点では3種類を発売しており、100mlあたり約10mgまたは10mg未満と公表)と比べても、カフェイン含有量が高いという不思議な現象が起きています。

今現在も具体的な製法を明らかにしていませんが、3種類ともに紅茶の茶葉を使用し、色が透明であることを除けば「紅茶」と呼びたい構成要素となっています。それでも、店頭に並ぶ際には「水」と同じ並びであることが殆どです。

2017年6月の時点では、日本のメーカーによる「透明なコーヒー」の販売はありませんでしたが、2018年5月にアサヒ飲料から「クリアラテ from おいしい水」が発売されました。エスプレッソ抽出エキスと生乳由来の乳清ミネラルを天然水に加えたもののようです。

「エスプレッソ」とあるので、当然ながらコーヒーが使われています。アサヒ飲料は今回の商品のカフェイン含有量を「ゼロ」と公表していますが、コーヒーを使っている以上「計測器をすり抜けただけ(実際には微量にカフェインを含む可能性がある)」と見るべきでしょう。

私も店頭で「クリアラテ」を見ましたが、「水」の扱いになり、コーヒーと同じ並びで無いケースが多かったです。「プレミアムモーニングティー」同様、構成要素を見る限りでは「水」と呼び難いのですが。

更に、日本コカ・コーラからは2018年6月より「い・ろ・は・す ライチティー」が登場しています。この商品も現物を見ましたが、カフェインゼロと明記されていても、原材料に烏龍茶とあれば、クリアラテ同様、「計測器をすり抜けただけ」に過ぎないでしょう。

世界的カフェチェーン店のロゴがあっても「水」なのか?

「クリアラテ from おいしい水」が発売される前、2018年2月のこと。コンビニエンスストアのセブンイレブン限定で「スターバックス スパークリングリフレッシング テイスト(ノンカロリー)」と、同「ピーチ スプラッシュ(ローカロリー)」が販売開始となりました。

2種類とも見た目は透明な炭酸水なのですが、「コーヒーチェリー(コーヒーの実)」と「生豆(コーヒーチェリーの中に入った種)」を使っています。総販売元はサントリーということで、カフェイン含有量は100mlあたり各10〜16mgと公表されています。

さて、「スターバックス」と言えば、1970年代にアメリカのシアトルで始まったコーヒー店で、日本では1996年に1号店がオープンしました。2015年には47都道府県に店舗を展開するチェーン店となりました。

そのため、多くの方は「スターバックス」と聞けば「コーヒー」が思い浮かぶのではないでしょうか。また、その名前やロゴも広く知られていると考えますが、それでも今回取り上げた2種類は「水」の扱いで、コーヒーは全然違う棚にありました。

原料がコーヒーであれ、紅茶であれ、見た目が透明であれば「水」とみなす風潮は少々考えものです。今でこそ「フレーバーウォーター」も人気となっていますが、純粋に「水(炭酸水)」が欲しい方にとっては誤った選択を引き起こす可能性があります。

特に小さな子どもやご高齢の方など、原材料を読み解くことが困難になるケースが予想されます。自分自身で読み解けるのが1番かも知れませんが、周囲で分かる方がしっかりサポートすることも大事でしょう。

水に見えて「乳成分」を含む飲み物の存在

今回新たに取り上げた「水に見せかけたカフェイン入り飲料」のうち、サントリーの「プレミアムモーニングティー ミルク」と、アサヒ飲料の「クリアラテ from おいしい水」は、各メーカーから「この製品は乳成分を含みます」と注意喚起がなされています。

2つの商品とも「乳清ミネラル」を使い、「クリアラテ」では「生乳由来の乳清ミネラル」と商品紹介サイトで明記しています。

「乳」「乳製品」「乳成分」などの表現はありますが、2015年に施行された「食品表示法」により「乳」の表示については「乳成分」と表示することとなりました。2つの商品とも、法令を遵守していることが分かります。

「乳成分」と聞くと、色が付いていたり、質感や感触が変わったりするイメージがありますが、ここで挙げた2つの商品はサラサラとした透明の水に見えます。それでも「乳成分」が含まれています。

つまり、上述のカフェイン同様、乳成分によるアレルギーを持つ方にとって、見た目では分からない「危険」が含まれている商品ということになるのです。

厚生労働省が示した年齢別の食物アレルゲンのデータによると、3歳・小1・小5では2番目に、中2と成人では4番目に「牛乳」が来ているのが分かります。また、重篤な即時型アレルギー反応をきたしたアレルゲンのデータでも2番目に「牛乳(全体の約23%)」が来ています。

食物アレルギーの中で「特定原材料」や「7大アレルゲン」の中に含まれる乳(乳成分)。明らかにカフェインよりもアレルギー(不耐症・過敏症)人口が多く、しかも大人よりも子どもに多いことを考えると、今回の商品は「罠」になりやすいと言えます。

今月のまとめ

水に見せかけて実はカフェインを含んでいる飲み物はどんどんと拡大しています。物珍しさや目新しさがそうさせるのかも知れませんが、中には発売開始から1年が経過したものもあります。

社名や商品名に「コーラ」とあれば、例え見た目が透明であっても「コーラ」と認識して貰える可能性は高く、店頭でもコーラと一緒に並ぶ図を想像しやすいのですが、「紅茶」や「コーヒー」「烏龍茶」となると、同様の扱いは厳しいでしょう。

仮にその商品が世界的に有名なカフェ(コーヒー店)が監修し、実際にコーヒーを使ってロゴを付けた物であっても、水に見えれば「水」の扱いとなってしまうのです。純粋に水を買おうとしている方にとっては誤った選択を引き起こしかねません。

店の陳列棚を見て「水」だと思ったら、そのまま信じて何も見ずに買っても良い時代は終わりました。原材料は必ず見るようにし、それを読み解くのが難しい時は周囲がサポートすることが大事です。

水に見えて、実はカフェインだけでなく「乳成分」を含むケースもあるため、それぞれに不安がある方は警戒を強めなければなりません。

【参考ウェブサイト(ホームページ)】

日本コカ・コーラ ニュースリリース『「コカ・コーラ クリア 6月11日(月)から全国発売』
同 ニュースリリース『「い・ろ・は・す ライチティー」6月4日から全国で新発売』
サントリー「PREMIUM MORNING TEA スペシャルサイト」
同 「栄養成分一覧」
アサヒ飲料「CLEAR LATTE(クリアラテ) 」
同「アレルギー・原料・栄養成分一覧」※ 「水」の項
スターバックスコーヒージャパン「スターバックス スパークリング リフレッシング テイスト(ノンカロリー」
同「スターバックス スパークリング ピーチスプラッシュ(ローカロリー)」
◉ UCC「コーヒーの植物学」
消費者庁「アレルギー物質を含む加工食品の表示ハンドブック」
※ PDFファイル
同 食品表示基準について「別添 アレルゲン関係」※ PDFファイル
厚生労働省「食物アレルギー」※ PDFファイル

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