【シリーズ】エナジードリンクがもたらした功罪 〜3. 体験談から学ぶこと〜

エナジードリンクの人気はとどまるところを知らず、私が暮らす周囲を見る限りでも、値段が多少高くても買うという方も多いです。また、エナジードリンクを販売している店舗や自動販売機も増えているように感じます。

以前ご紹介したように、特に若い世代の中には「エナジードリンク = 魔剤(魔法のように効き目があるもの)」といった感覚があると話す方も多く、エナジードリンクで「キメる」ことを重視する方もあるようです。

しかしその一方で、エナジードリンクなどにより急性カフェイン中毒に見舞われて大変な思いをされた方も後を絶ちません。日本では特段の規制はありませんが、海外では規制や注意喚起が厳しくなっているという情報を見聞きしています。

そこで今回は、実際にエナジードリンクを飲んだことで大変な目に遭ったと話す方(2名)から直接、その当時の状況を聞き取りました。そこから考えるべきことを「ケーススタディ」として一緒に見ていくことにいたします。

Case 1. 少量でも仇になるエナジードリンク

40代男性(Aさん)への取材メモ

2016年の夏、Aさんはパソコンの講習に参加するため、とあるパソコンスクールに行ったそうです。講習は2日間にわたり、日中いっぱいかかるものだったそうです。

元々、パソコン作業に慣れていないことから、初日の時点で難しい話が続いていると感じたAさんは、小休憩の際にスクール内の自動販売機でジュースを買い、それを口にして講習の続きを受けることにしました。

190mlほどの缶に入ったそのジュースは、陳列からコーヒーでは無いと気づいたものの、それがエナジードリンクであると分かったのは、実際に口にしてからだったと言います。エナジードリンクは、この時初めて飲んだとのことでした。

独特な香りと甘さに驚きながらも、休憩時間が終わるまでに全量を飲みきったそうですが、講習が再開されると徐々に倦怠感を覚え、頭も痛くなりだしたと言います。次第に講義内容が頭に入らなくなっていき、過度の焦燥感にも見舞われたそうです。

そうこうしていると昼休憩になり、昼食のために外出しました。食事は余り進まなかったものの、出された水だけでは足りず、何杯か口にしたと言います。ただ、それが功を奏したのか、徐々に倦怠感や焦燥感は落ち着いていったそうです。

その後、午後からの講習は何とか受けることが出来たものの、エナジードリンクで苦しんでいた間のこともあって、内容の理解に難が生じたとAさんは話します。この件を機に、2度とエナジードリンクは飲まないと心に決めたそうです。

Aさんは元々、コーヒーや緑茶などをよく飲まれるそうで、カフェインに特別弱いという訳ではありませんでした。また、アルコールに弱いことから、飲み会では烏龍茶やコーラを多く飲むともお話がありました。

しかし、エナジードリンクについては挑戦したくないという思いがあったようです。周囲の方が飲む様子を見ていて、独特な色や香り、パッケージや容量の多さなどに抵抗感があったとのことでした。

今回お話があったエナジードリンクは、値段の高さはあったものの、エナジードリンクにありがちなパッケージや容量では無かったことから、特に気に留めることなく買ってしまったそうです。

もし、そのパッケージがエナジードリンクにありがちなデザインや容量だったとすれば、買うことは無かったとAさんは話しています。普段から病気にかかることが少ないだけに、その時の調子の悪さにはご自身でも驚いたと振り返っていました。

実際の商品や自動販売機を見ていないので推測の部分もあるのですが、40代であるAさんがエナジードリンクに気づかなかったとあれば、子どもやご高齢の方などでは情報を見抜くことが更に難しくなるかも知れません。

自動販売機で飲み物を買う際には、一旦落ち着いてから判断する必要があるでしょう。判断が難しい場合は買うこと自体を控えたり、保護者などがサポートに回ったりして、リスクを減らす方向に向けたいものです。

今回の話の中で、Aさんは水を多く摂ったことで、カフェインを体外に排出することが出来、その後は徐々に調子を取り戻したとありました。この行動は、カフェインで体調を崩した際の初動対応として適切だったと思います。

もし、それでも改善が見られなかったり、むしろ調子が悪くなるようであれば、無理をせず医療機関にかかるのが良いでしょう。

Case 2. エナジードリンクに狂わされた生活

20代男性(Bさん)への取材メモ

学生でもあるBさんは、勉強をするために夜遅くまで起きる日が続いているそうです。加えて、夜はBさんが観たいインターネット番組を観るなどして過ごしているようです。

遅い時間まで起きているとなると、集中力が続かなかったり、やる気が出なかったりすることもあるとBさんは話します。その際にBさんは、眠気覚ましとしてエナジードリンクを飲むことがあるとのことでした。

Bさんは当初、勉強に集中出来なかったり、もうひと頑張りが欲しい時にエナジードリンクを飲んでいたそうです。エナジードリンクを飲む時間帯は、日付が変わる前後のことが多いようでした。

しかし、そのような生活が続いていく中で、Bさん流の飲み方が変化してしまい「決まった時間まで起きていたら、エナジードリンクを飲む」という生活になったと話しました。

その際「決まった時間まで起きる」というのは、必ずしもBさんがその時間まで勉強しているとは限らなかったそうです。好きな番組を観たりして、その時間までわざわざ起きてエナジードリンクを飲むというものだったとBさんは話しました。

そのような日々が続く中で、Bさんはふと我に返り、勉強が疎かになっていることと、エナジードリンクを飲みたいがために無理をして起きていることに疑問を持つようになり、その後は元々のルールに戻したとのことでした。

しかし、そのことがあったからと言って、Bさんがエナジードリンク嫌いになったということは無いようで、現在もエナジードリンクを飲んでいると話していました。

Bさんは以前からエナジードリンクを飲み、現在も摂っているとのことなので、カフェインへの耐性は強いと推測されます。しかし、飲む際のルールの変化を見ていくと、単なる好みと言うよりも依存が強く見られることも推測出来ます。

「遅く起きてまでもエナジードリンクを飲みたい」「エナジードリンクを飲むまでの過ごし方は多少乱れても問題ない」という感覚があったというのは、Bさん自身も良くない傾向だったと反省していました。

反省に至ったのも「勉強(課題)が進んでいなかったことに気づいたから」と話したBさん。その後は生活習慣を見直して、勉強も進んでいるとのことです。エナジードリンクとの向き合い方も正しいものにして、それが継続されればと願うばかりです。

Bさんは元々エナジードリンクが好きで、カフェインで大きく体調を崩すことは無かった方です。そのため、Bさんにエナジードリンクを禁じることは困難であると言えますが、むやみに飲み続けるのは避けてほしいと思います。

カフェインがもたらす悪しき状況は、先のAさんのような倦怠感や頭痛などの肉体的な不調だけでなく、Bさんのような考え方の歪みや不調として現れることもあると素人ながらも感じています。また、これらの不調が複合的に現れるケースも容易に想像出来ます。

エナジードリンクに限ったことではありませんが、カフェインに対しての依存や、そこから新たな不調が見られる場合には、注意が必要であると考えます。

本人が気がついて改善策を講じられると良いですが、それが難しい場合には周囲もサポートしていく必要があるでしょう。

今月のまとめ

エナジードリンクを好んで多く摂取する方がある一方で、エナジードリンクによって予想外の体調不良を起こす方もあります。今回、実際にエナジードリンクが原因で体調不良を起こした方にお話を聞く中で、それが非常に怖いものであると感じました。

体調不良が倦怠感や頭痛など身体の不調として現れた方もあれば、考え方の歪みや生活リズムの乱れという不調で現れた方もありました。どのような症状が出るかはその方次第でしょうが、どちらも放っておけば深刻なものになると言えます。

身体の不調が現れた場合には、水を多く摂取してカフェインを排出することで、不調が緩和されることも考えられます。考え方の歪みについては、自分自身で冷静になる時間を設けたり、周囲が目配りをしたりすることなどが有効策のひとつかも知れません。

症状が酷い場合には無理をせず医療機関にかかるのが良いでしょう。また、エナジードリンクに詳しくないだろう方がエナジードリンクに向き合っているのを見かけたら、周囲がサポートしたり、状況次第では購入を止めさせたりすることも大事でしょう。

エナジードリンクで怖い経験をされた方のお話を聞くことで、カフェインの悪しき面が見えてくるでしょう。いつもカフェインに頼る生活を行っている方は、見直しをすることも大事でしょう。

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