香りだけでも楽しみたい 〜カフェインと香りの真実〜


「カフェインを受け付けない」「カフェインで体調を崩す」という話をすると、その多くは「カフェインを含むものを飲むか食べるかした」というものでしょう。時に「カフェインを含むものを吸い込んだり触ったりした」ということもあります。

私自身はこれらをいずれも経験しており、他方でそういった話を見聞きしても疑うことは殆どありません。しかし「カフェインを含むものを吸い込んだ」と話すと「匂いがダメ」と思われてしまうケースが多く、状況の難しさを感じています。

そこで今回は「匂い・香り」に着目して、カフェインを含むものとの向き合い方や、カフェインを含むものに着目した変わり種商品について綴ってまいります。

カフェインそのものの香りって?

上述の「匂いがダメ」という表現には「カフェイン自体に匂いがあって、その匂いを嗅ぐと調子を崩してしまう」という意味が含まれるように思います。では、カフェイン自体の匂いとは、どういったものなのでしょうか。

Wikipedia『カフェイン』の項によると、カフェインの結晶に匂いは無いとあります。つまり、カフェインを含むものから香るものは、その品特有のものと言えるのです。

コーヒーやお茶には300種類以上の香り(香気・臭気)成分が含まれると言われています。チョコレートにも多くの成分が含まれると予想されます。共通する成分もあれば、そうでないものもあります。

カフェインを含むものの香り成分に「カフェイン」が含まれないことは確かです。コーヒーやお茶などの香りを感じて「カフェインを含むものがある」と思うことはあっても、「これがカフェインの香りだ」と思うのは間違いということになるのです。

「香ってきたから窓を閉めろ」では手遅れ?

何年前になるでしょうか、私がある企業で働いていた頃、同じフロア内でコーヒーを飲む方が多く、コーヒーの香りが充満することもよくありました。

私がカフェインを受け付けないことを知った同僚の中には、香りに気づくと気を遣って窓を閉めてくださる方もありました。しかし、窓を閉めて解決することは稀で、その時点で既に咳き込んでいたり呼吸が荒くなっていたりというケースが殆どでした。

逆に、窓をしっかり開けて対応される方もありましたが、こちらもご対応いただく前に調子を崩すケースが殆どでした。つまり、香りがする以前にカフェインが舞っていたのではないかと推測するのです。

先に「カフェインに匂いは無い」と記しました。また、カフェインには昇華性(固体から液体を経ずに気体となる性質)があります。これらのことから、対象物全体の匂いがする以前にカフェインが湯気などに乗って舞ったと考える方が自然なように感じます。

以前、ドーナツを買って帰ろうと店内の列に並んでいたところ、急に呼吸が苦しくなり、持ち帰りを諦めて店の外に出たことがありました。その際、店内の飲食スペースを見ると、店員がおかわり用のコーヒーポットを持って歩いていたのです。

ただ、ドーナツの中にはチョコレートやココアパウダーを使ったものも多くありましたので、それらも災いした可能性は否定できません。

せめて「香り」だけでも楽しみたい

2017年の秋のこと。ロングセラーのチョコチップクッキー「カントリーマアム」の香りがするリップクリームが発売され、話題となりました。期間限定商品でしたが、2018年にも再発されました。

成分を見ると、カフェインにつながるものは無く、香りだけでも楽しみたいと思う方に寄り添えるように感じました。カフェインを受け付けない方にとって、塗ったり飲食物と共に口に入ったりする時の心配ごとが減るのは良いことではないでしょうか。

また、入浴剤でもカフェインを含むものの「香り」を楽しむ商品が見られます。バスクリンは「緑茶(新茶)」の香りがする商品を何度か発表し、過去には紅茶の香りの商品も販売しました。また、アース製薬も紅茶の香りの発泡入浴剤を販売しています。

アース製薬によると、入浴剤で紅茶の香りを再現するにあたって「インド産のアッサムティー香りを分析し再現した香り成分」を香料中に配合しているとのことです。

この文面からは、紅茶から抽出した成分であるかを判定しにくく、カフェインを受け付けない方が安易に手を出せるものでは無いように思いますが、メーカー側は「より本物に近い香りになった」と自信を持っているのではないでしょうか。

明らかに手を出せない品もある

先ほど「カフェインを受け付けない方が安易に手を出せるものでない」と思う商品があることを綴りました。入浴剤の場合、医薬部外品の扱いであれば、化粧品とは異なり「全成分表示」が義務となっていません。そのため、慎重な買い控えが起きることもあるでしょう。

しかし、リップクリームとなれば全成分表示が義務となっていますので、明確に買い控えになるケースもあるのです。

商品名は割愛しますが、2019年9月のこと。現在流行している「チョコミント」の香りがするリップクリームを店頭で見ました。全成分表示には「ココア脂(カカオ脂)」とあり、カフェインを受け付けない方が手を出せない商品であることが分かりました。

また、全成分表示を見るまでもなく、カフェインを含むものが明るみになるリップクリームもありました。はっきりとした緑色で、見るからに緑茶を使っていると分かる品でしたが、「うるおい成分」としてチャ葉エキスと茶カテキンを含んでいました。

私もカフェインを含むものを触って赤みや発疹、かゆみが出たという事例を見聞きしていますし、私自身も体験したことです。リップクリームは飲食物と共に口の中に入ることもありますので、より慎重な対応が必要です。

香りだけでも楽しみたいという気持ちは分かりますし、私もそう思うことがありますが、やはり慎重に内容を見て、適切に判断することが大事ですね。

今月のまとめ

カフェインを含むものには独特かつ特徴的な香りを持つものが多いです。その香りこそがカフェインの香りと誤解されることもありますが、カフェインの結晶には匂いが無いと言われています。

そのため、カフェインを含むものの香りがした時には咳き込みや呼吸が苦しいといった状態に陥っているケースもあるものです。窓の開け閉めで対応できないケースもあります。昇華性が高いカフェインが空気中に舞ったためと考えるべきでしょう。

そんな中、香りだけでも楽しめる商品が登場しています。全成分表示が義務となっている化粧品では、材料をしっかり見ることで使えるかどうかを判断できますが、全成分表示が義務ではない医薬部外品では判断が難しく、慎重な対応が求められます。

中には、香りとは異なる要素でカフェインと結びつく成分が含まれることがあるため、全体をしっかり見て判断を進めたいところです。

参考ウェブサイト(ホームページ)

Wikipedia 『カフェイン』
同『昇華(化学)
日立化成テクノサービス・分析センター Webnta『香気成分・臭気成分の分析(機器分析)』
宇治田原製茶場『リラックスできるお茶の香り成分とは』
不二家『カントリーマアム』ブランドサイト
Pouch『みんな大好き「カントリーマアム」がリップクリームになっちゃった♪ 本物みたいな香りの「デリシャスリップ」シリーズだから間違ってレンチンしそう』
バスクリン『バスクリン』ブランドサイト
アース製薬『温泡ONPO』ブランドサイト
JCASTトレンド『”紅茶風呂”いかが…イギリスをイメージした「バスクリン」発売』