ニッポンのノンカフェイン、世界へ 〜可能性は無限大〜

日本には世界中から様々な食べ物や飲み物が入ってきますが、日本から世界に広がっている食べ物や飲み物もあります。中には「寿司(sushi)」や「天ぷら(tempura)」のように、日本で発せられる単語がそのまま定着したものもあります。

日本から世界進出を図る理由として、市場の拡大や文化交流などが挙げられるでしょう。そんな中、日本から世界に渡ろうとしているのか?と言えるノンカフェイン商品があることが分かりました。

今回は、日本で古くから親しまれている品が意外な形で展開されている模様をお伝えいたします。

日本のMUGICHA、世界へ?

夏になると、日本の多くの家庭で出される「麦茶」。韓国や中国など東アジア地域を除いては知名度が無い麦茶を佐賀県の中小企業が輸出に成功したと、NHK総合の『おはよう日本』で報じられました。

番組やNHKのニュースサイトによると、佐賀県は麦茶の原料となる「二条大麦」の生産が盛んですが、国内市場は縮小傾向にあるとのことです。そこで、唐津市にある麦茶メーカーが海外進出を決断し、東南アジアやヨーロッパなど13の国と地域に販路を拡大したと言うのです。

上述の通り、日本では「夏の(水分補給の)飲み物」という印象が強い麦茶ですが、海外では「ノンカフェイン」「ノンアレルギー」が注目されたと言います。メーカーが示したプレゼン資料には「赤ちゃんでも飲めるほど安心な飲み物」という文章がありました。

様々な工夫と努力の結果、海外進出を決断して10年後には、東南アジアやヨーロッパなど13の国と地域まで輸出を拡大し、海外での売上は会社全体の1割を占めるほどとなったのです。様々な苦労はあったと思いますが、今なお販路拡大の野望は大きいと言います。

海外では”barley tea (バレーティー)”と呼ばれる麦茶ですが、いつの日か”mugicha”として広く知られるようになるかも知れません。

日本のDASHI、世界へ?

先日、回転寿司チェーン店の「くら寿司」に行く機会がありました。回転寿司店なので寿司を食べたのですが、メニューの中に「くら出汁」とあり、興味本位で注文してみました。

一見するとカフェやコンビニエンスストアなどで販売されるコーヒーのようですが、カップには「だし」と書かれています。ロゴマークには “Japanese soup stock(日本のスープストック)”、ロゴマーク下のローマ字部分を見ると「毎日お店で手作りの本格出汁 旨味!」と書かれています。

くら寿司には茶碗蒸しやうどんなど、出汁を使ったメニューがあります。飲んでみると、かなりパンチのある味でした。塩分が強いと感じる方もいらっしゃるかも知れません。それでも、緑茶を受け付けない身としては嬉しい商品でもありました。

出汁を飲みながら気づいたのですが、出汁にしっかり味がある分、寿司に使う醤油の量がかなり抑えられていたのです。寿司ネタによっては、醤油よりも出汁の方が相性が良いものもあるように思います。一時期、販売が無かったので、これから定番化を目指すのかも知れません。

くら寿司はアメリカや台湾にも店舗があり、そこでも茶碗蒸しやうどん、味噌汁などが販売されています。「出汁」単品は無いにせよ、その味に触れた方は多いことでしょう。また、くら寿司に限らず、海外に進出した日本食レストランを通じて、海外でも「出汁(dashi)」は知られていっていると思います。

MUGICHAもDASHIも輸出に大きな壁

先の唐津市にある麦茶メーカーの社長によると、海外で麦茶を勧める際、その国や地域での食習慣を知ることが拡大のカギとなったようです。シンガポールのように、健康志向の強さから、日本と同じ飲み方が評価されるケースもあったそうです。

しかし、冷たいお茶を好まない中国では温かくして提供し、ベトナムでは濃くて甘いベトナムコーヒーをヒントにして、練乳を加えた濃い麦茶で勝負したと話します。その地の文化や風習、傾向に合わせた提案が重要だったことが分かります。

一方、出汁は「鰹節」の輸出規制が壁になることもあるようです。日本では特段の規制は無いのですが、鰹節を作る際に出る「ベンゾピレン」に発がん性物質があることから、EU各国やカナダなどでは規制値が設けられているのです。

このため、日本から安易に鰹節を輸出することが出来ません。その壁を超えるべく、製法や製造工程を見直した企業もあれば、海外で鰹節を作っている企業もあるようです。また、鰹節から旨味成分を抽出した加工品を作っている企業もあります。

尚、出汁の主な材料のひとつである「昆布」は、それ自体での輸出も出来なくは無いのですが、加工品として輸出されることもあるとのことです。出汁も苦労しながらも海外にもたらされているとも言えるでしょう。

とは言え、こうした苦労があっての結果、麦茶も出汁も海外で好評を得て、ゆくゆくは定着するのではないかというところまで来ています。「麦茶? 知っているよ」「出汁って美味しいよね」という声が外国の方から聞かれるのを想像すると、ワクワクしてきます。

今月のまとめ

世界から日本に入った食べ物や飲み物は多いですが、寿司や天ぷらなど日本から世界に渡った食べ物や飲み物も多くあります。そんな中で「麦茶」を世界13の国や地域に輸出している企業や、「出汁」を飲み物として提供し、注目を集める企業があります。

麦茶は「ノンカフェイン」「ノンアレルギー」ということが海外で評価されたとのこと。出汁はそれ単体だけでなく、茶碗蒸しやうどんなどに使われることで、海外でも広く知られているかと思います。日本食(和食)のあっさりとした味の要でもあるので、こちらも健康的というイメージがあるかも知れません。

日本の品を海外に持ち込む際、地域に合わせた楽しみ方を提案したり、規制を上手く回避しながら提供したりするなど、メーカー側の苦労は計り知れません。しかし、そこで手応えを感じていく中で、更なる可能性を感じていることでしょう。

海外から見た「典型的な日本の食べ物・飲み物」は時代とともに変わり、同時に増えているのではないでしょうか。

参考ウェブサイト(ホームページ)

NHK NEWS WEB  ビジネス特集『麦茶を世界の”MUGICHA”に』
くら寿司『メニュー』
Kura Sushi “Menu”
藏壽司 『商品專區』
Wikipedia『鰹節』