モヤモヤする代替品 〜ノンアルコールビールに潜む影〜

近年「ノンアルコール飲料」の市場が拡大し、ビールやチューハイ、カクテルなどをモデルにした飲み物が店頭で種類多く並ぶようになりました。飲酒運転の根絶を期待する声もありますが、健康を意識して飲んでいるという方も多いようです。

さて、カフェインを気にする方にとって、ウーロンハイや緑茶ハイ、コークハイなどといったカフェイン入りの飲み物をベースにしたお酒は避けて通りたいところです。しかし、そこに加えてアルコールを気にするという方はどうすれば良いのか悩むところでしょう。

以前のコラムで「コーラテイストのノンアルコール飲料は安易に手を出せないだろう」ということを綴りました。実は同様のことは「ノンアルコールビール(ビールテイスト飲料)」にも言えることが分かったのです。

そこで今回は「ノンアルコールビール」に着目し、安易に手を出せないとされる理由と、それを回避した商品などについて紹介してまいります。

※ 本記事に登場する商品情報は2020年2月15日現在のものです。商品リニューアル等により内容変更が生じる場合もございます。また、ノンアルコールビールは「清涼飲料水(炭酸飲料)」ではありますが、20歳以上の方をターゲットとした商品です。

ノンアルコール飲料は何故ここまで普及した?

サントリーが毎年行っている「ノンアルコール飲料に関する消費者飲用実態・意識調査」によると、ノンアルコール飲料の売上は年々伸びており、2019年の推測では、2009年と比較して4倍以上の市場規模になるとあります。

こうした背景には「飲酒運転を含む危険運転への厳罰化」があるとされ、ノンアルコール飲料を1度でも飲んだことがあると回答した方にその理由を尋ねると「車を運転したから」が32.4%で1位となりました。「飲んだら乗るな 乗るなら飲むな」が定着している証拠とも言えるでしょう。

しかし、ノンアルコール飲料を月1回以上飲んでいる方にその理由を尋ねたところ、「アルコール飲料と味がそん色ないから」が29.2%で1位となり、「車を運転したから」の27.2%を上回りました。このことから「味の良さ(美味しさ)」が市場をけん引するきっかけになったと考えられます。

また、4位から6位で「加齢により健康が気になるため」が24.4%、「体の脂肪が気になるから」が17.2%、「肝臓の数値が気になるから」が14.8%と並び、「健康への配慮」もノンアルコール飲料が支持される要因になったと見ています。「休肝日」を作るという発想にもつながっているでしょう。

実際にノンアルコール飲料を見てみるとカロリーや糖質などを抑えた商品が増えたり、「特定保健用食品(トクホ)」や「機能性表示食品」となったものも登場したりするなど、アルコール飲料には無い「プラスアルファ」を期待する傾向が強いのではないかと思います。

しかし、様々な改良がなされた結果、ノンアルコールビールにある物が加わる傾向が強まり、これがカフェインを気にする方を困惑させているのです。

ノンアルコールビールに潜む「●●●」

以前「コーラテイストのノンアルコール飲料」を取り上げた際、安易に手を出せない理由として挙げたのが「苦味料(くみりょう)」です。文字通り、苦味を加えるもので、味の重要な要素となったり、胃を刺激して胃酸や消化酵素の分泌を促す作用もあります。

実は、この「苦味料」の中に「カフェイン」が含まれており、コーヒーや茶葉から抽出・精製して作られると言われています。現在、市場に出回っているノンアルコールビールで「苦味料」を使った品は思いの外多く、カフェインを気にする方にとっては悩みの種となるのです。

誤解の無いように申し上げると、「苦味料」はカフェインだけを指す訳ではありません。グレープフルーツから作られる「ナリンジン」や、ニガヨモギという植物から作られる「ニガヨモギ抽出物」なども「苦味料」の仲間です。

ただ、原材料名に「苦味料」としか書かれていない場合、それだけでは実際に何を指しているのかは分かりません。「もしかしたらカフェインでは?」というモヤモヤした気分になるのです。そのため、安易に手を出せない商品となるのです。

通常、アルコール飲料としてのビールに「苦味料」の文字を見ることは無いでしょう。一方、ビールの原料としては欠かせないもので、苦味や香りなどを加えるとされる「ホップ」がノンアルコールビールには入っていないというケースは時折見られます。

「ホップが無い代わりに苦味料で苦味を出している」というノンアルコールビールもあります。健康志向も強まったはずのノンアルコールビールで、何ともモヤモヤする事態が起きていると言えるでしょう。

苦味料を使わないノンアルコールビールを探せ

ここまで綴った中で、カフェインを気にする方はノンアルコールビールを飲んではならないと思ってしまった方もあるかも知れません。しかし、実際に探してみると、苦味料を使わないノンアルコールビールも幾つかあるものです。

実際に飲むのはこれからなのですが、ここからは私が実際に購入出来た商品を3点ご紹介します。あくまでも「苦味料を使っていない」という点でのご紹介であることをあらかじめご了承ください。

まず、キリンから登場しているのは「零ICHI(ゼロイチ)」で、同社の人気ビール「一番搾り」の製法を用いて、人工甘味料や香料不使用で作られています。100mlあたり9kcalありますが、350ml缶を1本飲み切っても32kcalほどで、ローカロリーと言えるでしょう。

続いて、アサヒビールからは2種類。「ドライゼロフリー」はアルコール度数、カロリー、糖質、プリン体、人工甘味料の5つについて「ゼロ」という商品です。但し、カロリーと糖質は食品表示基準によるゼロ、プリン体は「100mlあたり0.5mg未満をゼロにする」という同社基準によるゼロです。

「ヘルシースタイル」は難消化性デキストリンの食後の血中中性脂肪の上昇を穏やかにする効果から、消費者庁の許可を受けた特定保健用食品(トクホ)です。1日1本(350ml)の摂取を推奨しています。こちらの商品も食品表示基準によりカロリーと糖質をゼロとしています。

どの商品も健康志向が強いものとなっており、アルコールを受け付けない方だけでなく、休肝日を設けたい方などのニーズに応えています。また、味や製法にもこだわったとあるので、期待も大きくかかります。各商品のレビューは改めて綴っていく予定です。

尚、今回購入出来ませんでしたが、サッポロビールの「プレミアムアルコールフリー」も苦味料を使わない品で、100mlあたり12kcalと低カロリーに作られています。

※ 食品表示基準では清涼飲料水の場合、100mlあたりのカロリーが5kcal未満の品を「カロリーゼロ」、糖質は0.5g未満の品を「糖質ゼロ」と表記出来るとあります。純粋な意味での「ゼロ」とは限らない点に注意しましょう。

今月のまとめ

近年、市場規模が拡大しているノンアルコール飲料は、飲酒運転の根絶に向けた動きに加え、健康志向の高まりがその人気を支えています。発売開始の頃と比べて味が良くなったという評価も多くなっています。

ノンアルコールビール(ビールテイスト飲料)も多く出回っていますが、ビール特有の苦味に近づける「苦味料」を使った商品が多いことに注意しなければなりません。苦味料の中には「カフェイン」もあるためです。そのため、カフェインを気にする方にはモヤモヤする要素となっているのです。

しかし、苦味料を使わないノンアルコールビールも幾つかあります。原材料や栄養成分に注意する必要がありますが、単純にカフェインだけを避けたいということであれば、苦味料を使わない商品が安心要素になるのではないでしょうか。

苦味料には様々な種類があるので、苦味料の表記があっても実際にはカフェインを含まない商品もあるかも知れません。苦味料が何を指すのかが明確に分かれば、モヤモヤは解消されるのではないでしょうか。メーカー側に対応を求めたいところです。

参考ウェブサイト(ホームページ)

サントリー『ノンアルコール飲料に関する消費者飲用実態・意識調査 サントリー ノンアルコール飲料レポート2019』
東京都福祉保健局『用途別 主な食品添加物 苦味料』
キリン『JAPAN HOP 日本産ホップでビールを楽しむ ホップとは』
同『零ICHI
アサヒビール『ドライゼロフリー』
同『ヘルシースタイル』
サッポロビール『プレミアムアルコールフリー』
e-GOV『食品表示基準』

実際に飲んでみました(レビュー)

【飲んでみました】キリン「零ICHI」
https://caffeine.blue/blog20200216

【飲んでみました】アサヒ「ドライゼロフリー」
https://caffeine.blue/blog20200225