安心を得るために 〜適切な情報開示が救うもの〜

私がカフェインを受け付けなくなりだしたのが2006年のこと。気が付けば10年以上もの歳月が流れました。改善される気配は一向に無く、思わぬところで躓くことが多々あります。そんな状況に慣れてしまうのも考えものかも知れません。

さて、カフェインを受け付けなくなって以降、世の中も随分と変わりました。そして、カフェインに対しての認識や情報量も10年前とは異なるという方も多いと思います。認識を変える上で「適切な情報開示」が重要であると言えます。

そこで今回は、カフェインについて適切に情報開示をしている企業の例を取り上げながら、カフェインと正しく向き合うための心構えを考えてまいります。

外部委託で為せるワザ? 自動販売機でも安心できる理由

「ダイドーブレンドコーヒー」「MIU(ミウ)」などで知られるダイドードリンコは、自動販売機での商品展開に力を入れている企業だと思います。同社では自動販売機を「店舗」と位置づけ、その地域や場所のニーズに合わせた商品展開をしているとのことです。

これまで、カフェインを受け付けない方にとって自動販売機で缶飲料を買うのは危険だとを綴ってきましたが、同社はこうした不安を払拭することを行っていました。インターネット上で全商品のカフェイン含有量を開示していたのです。

勿論、事前に調べてからとはなりますが、買ってからカフェインの表記を見て痛い目に遭うということは防げます。近年はスマートフォンを持つ方が多くなり、その場でカフェイン含有量を調べて買うということもできます。時代にマッチした取り組みとなっていますね。

実は同社の製品は、協力工場に製造を委託しているとのこと。協力工場で商品ごとの品質管理基準を設けて検査を行うだけでなく、協力工場から送られるサンプルを同社がチェックするという「ダブルチェック体制」が構築されているのです。品質保証監査も毎年行われているそうです。

検査の中には「タンニンやカフェインなどの定量分析チェック」が含まれており、カフェインに対して強く関心を持っている企業であることが分かります。こうしたチェックをしっかり行っているからこそ、自信を持ってカフェイン含有量を開示できるのでしょう。

それ故「カフェインナップ(適量のコーヒーを飲んで15分間昼寝をして生産性を上げる)」という同社の取り組みも興味深く映りました。カフェインを受け付けない方にとっては危険なものですが、カフェインがどういうものであるかをよく知った上での取り組みであることは伝わります。

私が同社のカフェイン含有量開示を知ったのは2011年のことですが、今でも、水やコーンスープ、トマトジュースなどといった「どう考えてもカフェインと無縁そうなもの」も含めてカフェイン含有量を示しています。この姿勢を貫き通す点に感動さえ覚えます。

後に続いた企業と我が道を進んだ企業の差

ダイドードリンコと同様の開示姿勢を示した飲料メーカーは他にもあります。例えば「WONDA(ワンダ)」や「三ツ矢サイダー」などで知られるアサヒ飲料は、商品と原材料とアレルギー特定原材料などと共に、カフェイン含有量をインターネット上で示しています。

また、「BOSS(ボス)」や「なっちゃん」などで知られるサントリーも全商品のカフェイン含有量をインターネット上で開示しています。JT時代には開示されていなかった「桃の天然水」も対象とし、直近で製造終了となった商品についても開示しています。

アサヒ飲料・サントリーともに、欲を言えばアルコール飲料についてもカフェイン含有量の開示をお願いしたいところ(苦味料の不安が解消されるため)ですが、ソフトドリンクの全商品について網羅している点は高く評価できます。

一方、情報開示に消極的な企業もあります。企業名は公表しませんが、どのようなことがあったのかは綴っておきます。

当時、ある企業の茶系飲料について、明確なカフェイン含有量を知りたいとお客様相談室にメールで問い合わせました。そこで数値は教えていただけたものの、問い合わせたことなども含めて二次利用しないようにと念押しされたのです。

そもそも、お客様相談室のページにも「(メールの)一部または全部の転載、二次利用をすることはご遠慮ください」とあり、「多くの方にとって有益と思われる情報さえ他言しないように」とも取れる主張に不快感を覚えたものです。この件以後、個人的に同社商品の不買を決めています。

しっかりと情報を開示することで得られる信頼がある一方、上から目線とも言える強硬姿勢を取って失う信頼もあることを痛感しました。私は前者のような対応ができる企業を応援したいです。

曖昧な表現が示す優しさと発想力

アサヒ飲料やサントリーのソフトドリンクの栄養成分一覧を見ると、数値の前に「約」と付いているものが多くあります。きっちりとした数値で書かれていればスッキリするかも知れませんが、この表現が実は「丁寧かつ優しい表現」であると考えています。

コーヒーや緑茶など「植物」をそのまま原材料としている場合、日当たりや土壌などによって個々の植物の生育状況が変わり、カフェインが一律の量にならないことが推測されます。そう考えると、1つの商品においてどのロットであってもきっちりとした数字になると考える方が不自然かも知れません。

「約」と付くことで小数点以下を処理したと考えることができますが、複数回の検査から平均値を出すために「約」を使ったことも考えられます。どちらにしても、数値を丁寧に扱おうとする姿勢が見えてきます。

かつて、アサヒ飲料から発売されていた茶系飲料では「●〜■」といった表記が使われていました。こちらもスッキリしないと思われる方があるかも知れませんが、「〜」とあることで、複数回にわたって検査・測定を行ったことが確実に伝わります。「約」よりも丁寧な表現と感じます。

仮にカフェイン含有量が「2〜10mg」の幅であり、平均値の「6mg」をパッケージに記したものがあるとします。実際には9mgも入っていた場合、「自分は7mg(または8mg)まで耐えられるから大丈夫だ」と思っていた方は危ない目に遭うことでしょう。「●〜■」という表記が良い注意喚起にもなるのです。

明確な数字で書かれるとスッキリする部分もありますが、「約」や「〜」で幅を持たせることで、消費者自身がしっかりと考えなければいけないことがあるのです。その意図が分かると明確な数字以上にスッキリすることでしょうし、カフェインとの向き合い方もより丁寧になることでしょう。

今月のまとめ

カフェインを受け付けない方にとって、カフェインの有無はもちろん、含有量も気になるところです。飲料メーカーの中にはインターネット上で全商品のカフェイン含有量を開示するところがあり、スマートフォンの普及も手伝って、正しく買い物をする指標にもなっています。

メーカーによっては、製造終了になった商品でも開示したり、アレルギー特定原材料などど共に併記したりする動きもあります。それ故に、情報開示に消極的な企業との差は開く一方です。

カフェイン含有量を示す際、「約」や「〜」といった曖昧とも取れる表現が使われることがあります。しかし、これらは決して曖昧ではありません。「自然界のものなので実際の含有量にはバラつきがある」「複数回の検査を行った」など、数値と丁寧に向き合ったことが分かるのです。

カフェインと向き合うにあたり、以前よりも情報が増えたと思いますが、まだまだ十分でない点も多いです。消費者側は与えられた情報を鵜呑みにするだけでなく、どのように向き合うかをしっかり考える必要があるのです。


「マンスリーコラム」は今回(2020年6月15日更新)をもって一旦終了となります。これまで「マンスリーコラム」をご覧いただいた皆様、本当にありがとうございました。

参考ウェブサイト(ホームページ)

ダイドードリンコ『原材料・栄養成分一覧』
同『品質・健康づくり 製造・出荷』
同『働き方をChange!! カフェインナップで生産性をアップ!!』
アサヒ飲料『アレルギー・原料・栄養成分一覧』
サントリー『栄養成分一覧』