ホットドリンク市場に異変あり 〜今ドキの自動販売機事情〜

カフェインを気にする方も含め、「自動販売機(自販機)」で販売されている飲み物に、多少なりとも不安を感じる方は多いかも知れません。パッケージはメインとなる部分しか見えず、原材料が分からないため、安易に手を出せないというのがその理由です。

寒さを感じる時期となると、自動販売機のホットドリンクのコーナーには、コーヒーやお茶類が多く並びます。カフェインを気にする方にとっては、この時点で自動販売機を利用しづらくなってしまいます。

しかし、近年はコーヒーやお茶以外にも並ぶ品が増え、そのバリエーションも多岐に渡るようになっています。そこで今回は、自動販売機のホットドリンクに注目し、その実態に迫ってまいります。

コーンスープだけではない! 贅沢スープの選択肢

コーヒーやお茶類が多いとされる自動販売機のホットドリンクコーナーで、寒い時期になると細々とコーンスープの缶が並ぶという光景は以前から見られました。しかし、それは限られた自動販売機でのことだったように思います。

しかし、近年はコーンスープを扱う自動販売機が増えただけでなく、コーンスープ以外のスープの缶が並ぶケースも増えてきました。コンソメスープ、オニオングラタン風スープ、エビのビスク(甲殻類の殻などをピューレにし、裏ごししたものを用いたクリームスープ)、ふかひれスープなども並んでいます。

コーンスープやコンソメスープは日常的に家庭で作っているという方も多いかと思いますが、オニオングラタンスープやエビのビスク、ふかひれスープは家庭の食卓にそう簡単に並ぶものではない気がします。ましては、日常的に作るものでもないでしょう。

これらを飲食店で食べるとなれば、費用も相当なものになります。特にふかひれスープは、ふかひれが高級素材であるだけに、多くの方にとって日常的に食べるものではないでしょう。それが自動販売機で気軽に出せる金額で楽しめるとなれば、心理的ハードルもグッと低くなるでしょう。

日テレnews24で報じられた内容によると、ふかひれを形を崩さず使ったり、オニオングラタンスープの見た目を再現したりというのは流石に困難ですが、材料や製法にこだわることで、その風味を上手く再現しているとあります。

私は自動販売機でコーンスープとコンソメスープを買うことがあります。以前は「水っぽい」「具材が物足りない」などという印象を受けていたものが、近年は「濃厚な味わい」「具材が種類多くふんだんに入っている」という印象に変わってきています。メーカーの努力の賜物でしょう。

「ごはんのお供」に「小腹満たし」 自販機スープの可能性

先ほどから「スープ」と綴っているので、洋風や中華風のスープばかりが自動販売機に並んでいるように感じるかも知れませんが、日本のスープも並んでいます。実際に、とん汁やしじみの味噌汁なども並んでいるのです。

しじみの味噌汁を缶で売り出している永谷園では、同商品をランチのお供やお酒を飲んだ後に是非と提案しています。お昼はおにぎりだけになりがちだけど、本当はご飯と共に味噌汁が欲しいという方にはうってつけの商品でしょう。もちろん、お弁当にも合うはずです。

米食でなくても、例えばコンビニエンスストアのサンドイッチに缶入りのスープを加えれば、品数や贅沢感をアップさせられることでしょう。金額もそこまで張らないとなれば、需要が上がるのも当然のように感じます。

しかし、自動販売機を管理している会社の調べでは、缶入りスープがよく売れる時間帯は16時〜17時と22時〜23時だったようです。ごはんのお供にもなるでしょうが、実はスープ単独で小腹を満たしたいという考えがあるのではないかと推測されていました。

缶入りのスープであれば、片手で飲むことが出来るので、作業の妨げにはならないというケースもあるでしょう。また、近年は味や具材などが充実していることから、それ1本だけで満足するという方も多いかも知れません。缶入りスープに求められる要素は多岐に渡っていると感じます。

先のしじみの味噌汁で「お酒を飲んだ後に」とあったのも、売れる時間帯を考えたら理にかなっています。しじみの味噌汁だけを求めて店をはしごするというのは考えにくいですね。体を労りつつ小腹を満たしつつというニーズにも応えてくれそうです。

前代未聞!? 自動販売機でお湯を買う時代に

その昔、水は水道の蛇口から出るものを飲むもので、わざわざペットボトルに入った水を買うなんて…という考えが広く浸透していました。しかし、現在では水のペットボトルは市民権を得ており、一般家庭にウォーターサーバーがある光景も不思議ではなくなりました。

自動販売機にペットボトルの水が並ぶことも珍しくなく、私も出先での仕事でペットボトルの水を手渡されることがあります。そんな時代にあって「何で今まで無かったのだろう」という声も上がっているのが、ペットボトルの「お湯」なのです。

「チェリオ」や「ライフガード」を販売しているチェリオコーポレーションでは、2020年1月より、「天然水ホット 500mlPET」を中部・関西エリアで数量限定で販売しています。自動販売機では50℃ほどに温められるそうなので、「お湯」と言うより「白湯(さゆ)」と言うべきかも知れません。

担当者の話によると「美容や健康を気にする方は冷たいものを飲まない」「カフェインを控えている方はホットドリンクの選択肢が少ない」との理由で「あったら喜んでいただけるかな」という思いで商品を投入したそうです。

しかし、蓋を開けてみると、こうしたニーズに加えて「出先で薬を飲みたい時に重宝する」「病気でカロリー制限をしているので助かる」といった声にも応えることが出来たとのこと。インターネット上でも高い評価を得ているのです。

50℃のお湯であれば大ヤケドの心配は少ないでしょうし、胃腸にも優しいです。自動販売機でも安心して買えます。個人的には小ぶりのサイズがあればなお良いなと思いますが、500mlという量は極端に飲みづらい(使いづらい)と感じません。

現時点では地域と数量を限定しての販売ですが、上々の結果となれば地域を拡大しての継続販売が期待されますし、同業他社も自動販売機にお湯を投入するかも知れません。「ただのお湯です」というキャッチフレーズが、多くの方の心を掴んだと言えそうです。

今月のまとめ
「原材料が見えない」という理由で、安易に自動販売機の飲み物に手を出せないと考える方は多いと思います。カフェインを気にする方にとって、コーヒーやお茶類が中心となるホットドリンクのコーナーは、自動販売機をいっそう利用しづらくしています。

しかし、近年は缶入りスープの種類が増え、市場も拡大傾向にあります。ふかひれスープやエビのビスクなどといった、日常的に飲まないものも販売されています。缶入り、かつ、自動販売機ということで、購入のハードルは一気に下がっています。

スープであればカフェインを気にすることはほぼ無いですし、ごはんのお供や小腹満たしにも役立ちます。味噌汁も缶で販売される時代になり、その時の気分でどのスープにするかを選べそうです。

地域と数量を限定してですが、「お湯」が販売されている自動販売機もあります。水を50℃ほどに温めただけなのですが、実際に販売が始まるとメーカー側が予想していた以上の反応があり、メーカーは需要の多さに嬉しい悲鳴を上げているようです。

「全ての自動販売機で」という訳ではありませんが、缶入りスープ市場が拡大したことで、カフェインを気にせず飲めるものが自動販売機に増えつつある印象を受けます。ここに「お湯」が加わると、更に選択肢が広がります。カフェインを気にしない層にも好評となれば、自動販売機のホットドリンクは更に活況となるかも知れませんね。

参考ウェブサイト(ホームページ)

日テレnews24『自販機に本格”缶スープ”続々…なぜブーム』
永谷園『1本でしじみ70個分のちから 缶みそ汁』
with news『自販機で「お湯」売ってます! チェリオ、天然水を50℃でテスト販売』
チェリオ『天然水ホット 500ml』